2008 Fiscal Year Annual Research Report
各国間の所得の不平等に影響を及ぼす因子の特定化に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
19530247
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
片桐 昭司 Prefectural University of Hiroshima, 経営情報学部・経営学科, 教授 (30274418)
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Keywords | 不平等 / 所得格差 / 情報通信技術(ICT) / プロダクト・サイクル / 内生的経済成長 / 研究開発(R&D) |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、前年度に構築したモデルをもとに導出された一般均衡体系の均衡式について回帰分析を行い、モデルの整合性を検討し、所得の不平等に影響を及ぼす因子のひとつがICTの進展であることを確認することである。具体的には、OECDやPenn-Worldの統計資料をもとに、中間財(ICT)や効率性などの説明変数と被説明変数の収集を行い、計量ソフト(TSP)を用いて回帰分析を行った。実証分析の対象国は、日本、アメリカ合衆国、イタリア、韓国、およびインドの5カ国とした。その結果は以下の通りである。 (1)イタリアは、回帰分析の統計量の検定結果、分析対象外の扱いになり、韓国を除く国々に関してはある程度理論モデルで示唆された結果が支持された。特に、日本とアメリカ合衆国との所得格差は、本理論から得られる2005年度の所得格差は1.28であるが、実際の所得格差は1.35で、その誤差は7ポイントであった。(2)韓国とアメリカ合衆国との所得格差に関しては、その大小関係が逆転する結果となり、この原因は韓国の急激な研究開発部門の変質が関係していると考えられ、研究開発部門の急激な構造変化を示す国に対しては、その部門の生産関数の定式化の改善が必要とされる可能性がある。(3)かなりの制約がある中での本結果を考慮すれば、グローバル的なICTの進展が経済環境の変化を引き起こし、その結果、経済格差が生じる、つまりICTの進展の程度が所得格差を引き起こす要因のひとつとであると考えられ、前年度で行ったモデル構築が支持される結果を得た。
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