2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア経済の技術特化、技術集中度とイノベーション・システムに関する比較研究
Project/Area Number |
19530248
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
宮城 和宏 Okinawa International University, 経済学部, 教授 (50268786)
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Keywords | 技術特化 / イノベーション / 東アジア |
Research Abstract |
本年度の研究は、大きく2つに分けることができる。 (1)技術特化パターンとイノベーション・システムに関する台湾の事例 ケース・スタディとして東アジアの中でも、特に台湾を取り上げ、技術イノベーションの背後にある技術競争力の現状について考察した。具体的には、技術競争力の源泉となるインプットの諸指標と技術競争力の成果としてもたらされるアウトプットの諸指標を用いて台湾の技術競争力を明らかにした。その結果、台湾の技術競争力はインプットの指標であるR&D活動ではすでに先進国水準に到達しているものの、アウトプットの指標に関しては、基礎科学的側面では先進国に後れをとり、特許数のような応用分野については世界のトップレベルにあることが判明した。よって、今後の台湾の課題は技術競争力の質的側面の向上にあると考えられる。 (2)東アジア経済各国・地域の技術特化パターンの動態的変化 (1)東アジア経済の技術特化パターンは類似しているのが、それとも異なっているのか。(2)東アジアの技術特化パターンは、過去の学習あるいは技術蓄積を反映した累積的あるいは経路依存的なパターンで安定的なのか。それともランダムなパターンに留まっているのか。(3)技術変化の漸進的なプロセスは、イノベーションの部門構成を長期的にシフトさせているのか、について特許データを用いた統計学的な検証を行った。実証分析の結果、東アジア経済の多くで技術特化はランダムなパターンから累積的・漸進的なものへと移行し、それは技術特化の程度の低下を伴うものであったことが確認された。この結果は、技術特化パターンの動態的性質を考える上で重要な示唆を与えるものと考えちれる。
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