2008 Fiscal Year Annual Research Report
経済成長と技術の関係に関する空間計量経済学を用いた指標:自動車産業の事業所の例
Project/Area Number |
19530254
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
打田 委千弘 Aichi University, 経済学部, 准教授 (50305554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 陽介 上智大学, 経済学部, 教授 (20266068)
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Keywords | 技術の補完性 / 生産関数 / 横断面依存性 / 集積効果 / 垂直的系列組織 / 空間計量経済学 / 混雑効果 |
Research Abstract |
今年度は,日本の自動車部品工業に属する事業所の「経済的距離」を定義し,昨年度に作成したデータベースの再構築を行った,第一に,『工業統計調査』に基づき,住所情報を緯度・経度情報に変換し,日本の10自動車グループの主要工場の緯度経度情報から最少距離を計算した.第二に,トヨタ自動車グループの『協豊会』など,垂直的系列組織に所属しているかどうかの質的指標を用いた距離指標を作成した.これらの諸指標に関する記述統計量から,独立系の会社を含む,通常の自動車部品会社・事業所の空間的分布は正の歪みを持っている一方,垂直的系列組織に属している自動車部品会社・事業所は,グループ毎に異なった分布を示していることが分かった.また,事業所の生産性に関して集積効果が持っているか,混雑効果を持っているかを検定するため,経済的距離指標を用いて,最小二乗法および一般化積率法を使ってCobb-Douglas型の生産関数を推定した.さらに,推定結果の頑健性を見るため,Cross Sectional Dependenceを想定したConley(1999)の推定方法,生産要素間の同時性を考慮したLevinsohn and Petrin(2003)の推定方法も検討した.推定の結果,事業所間の最少距離を用いた場合,および垂直的系列組織に属していない独立系会社・事業所のケースでは,事業所の生産性に関して集積効果が見られる一方で,垂直的系列組織に属している事業所の場合,混雑効果を示すケースが多いことが分かった.これらの結果は,推定法などに関して頑健であることも確認された.これらの結果は,自動車会社が部品企業の直接投資を伴わず生産拠点を海外に移す趨勢が生産性にもたらす影響について含意をもつ.
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