2009 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジア移行国の公共財政経営問題:モンゴルの財政政策と財政制度の分析
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19530256
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
上野 宏 Nanzan University, 総合政策学部, 教授 (10324906)
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Keywords | PFM(公共財政経営) / PEFA(公共財政支出アカウンタビリティー) / CPIA(国別政策制度評価) / 業績測定枠組み(PMF) / 公共支出レビュー(PER) / 資源の呪い(resource curse) / モンゴル / 移行経済 |
Research Abstract |
1.研究計画。本年度は、研究の最終年度であり、これまでの成果に基づき(1)モンゴル国公共財政政策と制度の評価をまとめ、(2)他の中央アジア移行国の公共財政問題との比較を行い、(3)研究報告書を執筆することを計画した。結果は、ほぼ計画通りに実施できた。 2.成果内容。モンゴル国公共財政政策と制度の評価については、二人のモンゴル人研究協力者と協力して研究ペーパーを作成。これらは、次年度、報告書として印刷する予定。他の中央アジア移行諸国との比較については、キルギスタン・タジキスタン・ウクライナとの比較を行った。更に、比較を拡張し、東欧移行諸国(モルドバ・セルビア・アルバニア)と一般途上国17ヵ国平均との比較も行い、ペーパーとして発表。これらペーパーでは、モンゴル国公共財政政策と制度の問題点を抽出し、それらに基づいて政策と制度の改善への示唆・提言を行った。主な問題点は、順循環的経済政策、未徴収税金額、公務員の人数未確定、内外監査結果の政策反映の不足、プログラム予算の不徹底、等。 3.意義。現在(2010年3月)モンゴル政府は、公共財政経営システムの改革を行っているという報告があった。この研究の分析と示唆・提言は、この改革に直接に役立つはずである。研究の中間経過は既に、モンゴル国財務省財政政策調整総局長に報告してあり、次年度に報告書印刷が出来上がったら、総局長に送付する合意にもなっているので、改革に利用されることが期待できる。 4.重要性。公共財政経営の問題は、現在のギリシャの財政赤字とユーロの問題に現れているように、途上国に限らず、日本を含めた先進国にとっても最大の経済問題の一つになりつつある。この研究はモンゴルに集中したが、同じ方法や考え方を使って、他の途上国や先進国、そして日本へ研究を拡張することができ、重要な貢献ができると思われる。
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