2007 Fiscal Year Annual Research Report
国際物流のグローバルリンケージが日本経済の構造変化に及ぼす影響に関する実証分析
Project/Area Number |
19530262
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
宮下 國生 Osaka Sangyo University, 経営学部, 教授 (60030714)
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Keywords | 国際物流 / アジア物流 / グローバルリンケージ / 日本経済の構造変化 / ロジスティクス / SCM / ネットワーク経済 / プロダクトサイクル |
Research Abstract |
本年度の研究では、まず、グローバル物流の発展軸と荷主企業と物流業の関係の変化軸を、それぞれ横軸と縦軸にとって構築される現代のネットワーク経済が、アームズレングス型SCMによって支えられているとの認識の下で、日本の荷主企業のロジスティクス・パワー関数を測定して、わが国におけるロジスティクス革新が、世界の潮流から10年近く遅れた1995年ごろより顕著になってきたことを計量的に実証した。日本の経済産業省の公表データを用いたこの種の研究によって、日本のロジスティクスの発展度を測定しえたことには意義がある。今後の課題は、日本製造業の業種別ロジスティクス構造の解明と米国製造業との比較実証分析を行うことである。なお分析に必要な米国のデータの収集を終えている。 このように、日本製造業は、90年代半ばを境にして、いわゆる日本経済の失われた10年の間に、いち早く構造転換を果たして、グローバル市場に打って出ていたのである。そこで上記の研究成果をふまえれば、日本を中心とするグローバル物流の動態が、日米間、日本・EU間、日本アジア間におけるコンテナ船物流と空運物流の組み合わせのウェートの変化に現れ、その背後では日本製品のプロダクトサイクル、景気変動、構造変化が、短期、中期、長期の物流モード決定因として機能しているであろうという行動仮説は現実適応性を持っているであろう。この点を実証分析によって確認しつつ、対米物流の決定構造の影響が、一定のラグを置いて対EU物流に、さらに対アジア物流へと波及し、累積していく構造を特定するために、試論的な研究も進めた。今後の課題は、3地域の物流サイクルの中で、日本の物流サイクルの周期を実証的に推定して、国際物流のグローバルリンケージが日本経済の構造変化を誘発する仕組みを明らかにすることであるが、その研究発展の具体的展望は本年度の研究でかなり得られたと見ている。
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Research Products
(5 results)