2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530268
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大森 正博 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (40286000)
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Keywords | 医療 / 介護 / 連携 |
Research Abstract |
我が国の医療制度改革は、平成18年6月の高齢者の一部負担増加の施策を内容として含んだ医療制度改革関連法案の成立によって、新たな局面に入った。様々な政策の実施が今後計画されているが、その中で一つの焦点になるのが、公的医療保険の対象になっている「療養病床」の将来における廃止の施策である。「療養病床」と同様の長期療養患者の施設サービスは、公的介護保険によってカバーされている「介護療養型医療施設」においても提供されているのが現状であるが、政府は、「療養病床」の患者を「介護療養型医療施設」にシフトさせる方針を打ち出している。そのために、政府は、療養病床と介護療養型医療施設における患者負担を同等にする政策を平成18年10月1日より実施した。療養病床における食費を1食260円から介護療養型医療施設と同じ460円に上げ、居住費については平成18年9月までは負担を要求していなかったが、10月1日より、1ケ月約1万円の負担を患者に求めることにした。もちろん、これだけの施策で「療養病床」から「介護療養型医療施設」への患者シフトが実現されるとは考えにくいが、この政策が採られる背後には、医療と介護の分業がうまくいっていない・とがあると考えられる。本研究では、医療と介護の分業が適切に行われないメカニズムを分析し、最適な分業を達成するための制度設計について考えることを目的とする。 平成19年度は、日本の医療・介護制度に関わる問題について整理し、まとめを行い、本研究課題の医療・介護制度全体における位置づけについて明らかにした。次に、医療機関・介護サービス供給者への支払い方式の違いが、医療機関のサービス提供のあり方(量、質)、介護サービス供給者への紹介行動、介護サービス供給者のサービス提供のあり方にどの様な影響を与えるかを検討した。
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