2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530268
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大森 正博 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (40286000)
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Keywords | 医療 / 介護 / 連携 / 分業 |
Research Abstract |
平成20年度は、医療と介護の連携の実態をふまえた理論研究および実証研究の準備を行った。医療制度、介護制度、そしてその連携の中心にあると思われる療養病床、介護老人保健施設等の過去から現在にかけての実態を、公表されているデータを用いて、調べ、整理した。日本では療養病床のみならず急性期医療を対象とする一般病床においても介護に近い医療が提供されている可能性があり、医療と介護の連携が達成されている状況にはない。さらに、医療と介護の連携の現状の制度を経済学的に分析し、理論的問題点を明らかにした。そこで明らかになったポイントは、分業、連携を実現する上での紹介制度の重要性である。患者の選択により分業・連携が促進される側面もあるが、それだけでは十分ではなく、紹介制度の果たす役割の重要性が明らかになった。市場メカニズムでは、価格が分業を促進するために重要な役割を果たすが、医療、介護においては、患者とサービス提供者の間の医学的知識・医療情報に関する情報の非対称性、保険の存在による価格自体の役割低下により、価格のみでは分業は十分に行われない。そこに医療と介護の「分業」の概念よりも広い「連携」の概念の重要性がある。「連携」においては、価格のみならず「紹介制度」の果たす役割が重要である。 また、医療と介護の連携が、日本の医療制度に占める重要性について、明らかにするために論点整理を行い、その本質的重要性が明らかになった。
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Research Products
(2 results)