2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530268
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大森 正博 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (40286000)
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Keywords | 医療 / 介護 / 連携 / プライマリーケア医 |
Research Abstract |
医療・介護の連携は、医療制度のあり方を考える上で不可欠の論点である。平成21年度は、第1に日本の医療制度の問題点について理論的整理を行う過程で、医療・介護の連携の持つ理論的な含意について考察を行い、整理を行った。結論は以下の通りである。医療・介護費用負担に関する整合性を確保することが重要であり、医療を受けるか介護を受けるかは、患者の身体状況に応じて決まるべきであり、機会費用の高い病院における費用負担の方が介護よりも大きくなるように設定するべきである。それに加えて、医療から介護へ、介護から医療へ移行するに当たっての紹介者、仲介者が必要である。医療から介護への移行については、入院していた病院、介護から医療への移行は、介護施設、介護サービス供給者に義務づけ、それに対する報酬も設定することが一つの方法であるが、プライマリーケア医制度の導入を前提にすると、プライマリーケア医にその役割を担ってもらい、報酬を供与することも考えられる。一方、介護を受けている人々およびその家族にとっての不安は、身体状況が変化して、医療が必要になった時の対策についてである。施設介護を受けている人々も在宅介護を受けている人々も、必要に応じて医療サービスを受けられるように、出張による在宅医療を受けられる体制を整備する必要がある。プライマリーケア医制度を前提にすると、在宅医療の供給者は、その患者を担当するプライマリーケア医が望ましい。 第二に、オランダにおける医療・介護の連携についてケーススタディを行った。資料、データの制約の中で医療制度内での連携の在り方が考察の中心になったが、プライマリーケア医であるGeneral Practitioner(GP)が重要な役割を果たすことが示された。GPは、連携を促進する紹介制度(Referral system)の要であるが、紹介のインセンティブに、支払い方式が影響を与える可能性がある。
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Research Products
(2 results)