2007 Fiscal Year Annual Research Report
グローバライゼーションによるインフレの産出ギャップに対する反応感応度の変化
Project/Area Number |
19530278
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
千田 隆 Hiroshima University, 大学院・社会科学研究科, 教授 (00304387)
|
Keywords | インフレ / フィリップス曲線 / グローバライゼーション / 犠牲率 / 生産性 / 自然失業率 |
Research Abstract |
本年度は、インフレの産出ギャップに対する反応感応度の変化の研究を進める目的で以下のとおり実施した。 1.インフレの産出ギャップに対する反応感応度の変化についての、最近の米国の研究をサーベイした。多くの研究で、近年の米国においても、我が国と同じくインフレの産出ギャップに対する反応感応度が低下していることが報告されている。その原因としてさまざまな要因が検討されているが、グローバライゼーションをその原因とするという見解については懐疑的なものが多かった。この成果は、広島大学経済論叢13(2)に「フィリップス曲線の傾きはなだらかになったか:展望」として発表した。 2.インフレの産出ギャップに対する反応感応度と過去のインフレ率との間の関係を実証的に分析した。この実証分析より、過去の平均インフレ率が高い(低い)国ほど、インフレの産出ギャップに対する反応感応度がより大きくなる(小さくなる)という結果が得られた。この研究成果は、Contemporary Economic Policyに"Inflation History and the Sacrifice Ratio: Episoae-Specific Evidence"(共著)として近刊の予定である。 このような結果を踏まえ来年度は、インフレの産出ギャップに対する反応感応度を規定する他の要因、特に生産性の伸びについて検討を進めたい。
|