2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530285
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小暮 厚之 Keio University, 総合政策学部, 教授 (80178251)
|
Keywords | 長寿リスク / Lee-Carter法 / ベイズ法 / 死亡率 / 年金リスク / ワン変換 / 証券化 / スワップ |
Research Abstract |
平成19年度計画に従って,以下のように研究を行った.1.死亡率予測のベイズ統計モデリング基本的なLee-Carterモデルをベイズモデルへと拡張した.状態空間モデルの枠組みを用い,観測方程式として正規モデルとボアソンモデルを取り上げ,時間パラメータを記述する状態方程式として,確定トレンド,確率トレンド,定常モデルの3種類の時系列モデルを採用した.これらを組み合わせた6種類のモデルを構築し,周辺尤度を用いてモデル選択を行った.各モデルの周辺尤度の値から,65歳以上の人口に対しては,確率的トレンドモデルがデータから最も支持されることが明らかとなった.これらの計算を実行するにあたり,C#によるMCMC法のプログラムを作成し実装した.2.長寿リスクの評価と証券化1.で構築した死亡率予測モデルを我が国死亡率に適用し,年金現在価値分布を導出し,将来の長寿リスクを定量的に評価した.特に,長寿リスクのバリューアットリスクを算出し,期待される長寿リスクに対して,期待されないリスクが最大で20%程度であることを示した.さらに,この長寿リスクをヘッジする手段として死亡率スワップという形態の証券化の実現可能性を考察した.スワップ評価にあたっては,ワン変換を用いて観察死亡率のリスク中立化を行った.ワン変換のパラメータ同定には,2006年に改定された標準生命表(年金用)を用いた.3.成果公表これらの成果は,2007年度統計関連学会連合大会,2007年度日本保険・年金リスク学会,東京大学応用統計ワークショップ,東北大学実学ブリッジ・プロジェクト応用統計計量ワークショップで報告した。また,「長寿リスク評価へのベイズ統計モデリング」と題する論文を日本保険・年金リスク学会誌へ投稿し,採択された.
|