2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530285
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小暮 厚之 Keio University, 総合政策学部, 教授 (80178251)
|
Keywords | 生命リスク / ペイブモデリング / 証券化 / 長寿リスク / 長寿債 / 死亡率スワップ / Lee-Carter法 / MCMC |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年度にあたる.前年度までの研究成果を踏まえ,生命リスクのベイズ・モデリングとその証券化のスキームに関する本研究の総括的考察を行った.具体的には,以下のように研究を実施し,その成果を公開した. 1)生命リスク証券化のためのベイジアン・プライシングの枠組み構築 証券化のためのリスク中立化プロセスとして,平成20年度で提案した最大エントロピー法をさらに詳細に考察した.特に,エッシャー変換が最大エントロピー法の特別なケースとして得られることを明らかにした.また,複数のリスクの中立化を実現するために,最大エントロピー法の多変量への拡張を考察した.この成果は,生存リスクと住宅価格リスクの2つのリスクに依存するリバース・モーゲージのような仕組みの評価に利用可能である. 2)ベイズ統計モデリング ベイジアン・プライシングを行うために,Lee-Carterに基づく予測分布の導出とそのリスク中立化が必要となる.これを実際に行うMCMC法は,特にリスク中立化のプロセスにおいて膨大な計算を必要とする.今年度は,カルマン・フィルター法を一部組みこむことにより,昨年度までの手法より効率的で高速なアルゴリズムを実装した. 3)研究成果の公表 これらの成果は,2009年度統計関連学会連合大会や第12回「ノンパラメトリック解析とベイズ統計」で口頭報告するとともに,Insurance Mathematics and Economicsや日本保険・年金リスク学会誌といった内外の雑誌に論文として掲載した.また,Life Riskというホームページで,平成19年度以来の本研究の成果をインターネット上で公開している.
|