2008 Fiscal Year Annual Research Report
跳躍拡散過程の下における永久イスラエリ・オプションの評価
Project/Area Number |
19530288
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
董 晶輝 Toyo University, 経営学部, 准教授 (80408955)
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Keywords | イスラエリ・オプション / 権利行使限界 / 跳躍拡散過程 / 2重指数分布 / 2重アーラン分布 |
Research Abstract |
この研究では、原資産価格過程が幾何ブラウン運動にジャンプを加えた跳躍拡散過程に従う場合、通常の永久アメリカン・オプションに対応する永久イスラエリ・オプションの買い手と売り手の権利行使限界を求めるとともに、このタイプのオプションの価格式を導出する。今年度の研究では、まず、ジャンプの分布が2重指数過程の場合について、永久イスラエリ・オプションの価格を求め、それをもとに、オプションの買い手と売り手の権利行使の閾値の感度分析を行い、ジャンプの効果を明らかにした。このモデルの応用として、為替レート連動型貸借契約と2重買い取り請求権付き優先株の評価について検討し、数値的に貸し手(優先株主)と借り手(発行企業)の権利行使の閾値と貸付額(優先株の価格)を示すことで、本研究の成果が新しい金融資産の設計とその価格付けへの応用の可能性を示した。これに続いて、2重指数過程を含むより一般的な確率過程として、ジャンプの分布が2重アーラン型の場合について検討し、この場合での買い手と売り手の権利行使限界を求め、永久イスラエリ・オプションの価格式を示した。ここで求めた価格式は複素数を含む高次の連立方程式であるため、実務での利用を考え、汎用の計算ソフトでこの種の複素数を含む高次の連立方程式を数値的に解く方法を研究した。さらに、これらの研究成果のコーポレート・ファイナンスでの応用として、跳躍拡散過程での参入退出問題について研究し、学術論文「跳躍拡散過程での有限回参入退出モデル」が日本経営財務研究学会のジャーナル誌『経営財務研究』に採用された。今年度の研究は予定通りの成果を得ることができ、中間の研究成果について学会報告を行い、最終の研究成果をまとめた論文を関連の学会に投稿した。
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