2009 Fiscal Year Annual Research Report
地方住民税の税率フラット化による再分配効果-所得階層別・種類別の要因分解-
Project/Area Number |
19530293
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
望月 正光 Kanto Gakuin University, 経済学部, 教授 (40190962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 容康 獨協大学, 経済学部, 准教授 (90383207)
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Keywords | 三位一体改革 / 個人住民税 / 再分配効果 / タイル尺度 / 申告所得税 / 源泉所得税 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「三位一体改革」において平成19年度から地方住民税の税率が10%の比例税率にフラット化されたことから、地方住民税の再分配効果が、国税と比較してどのように変化するかを明らかにするとともに、その再分配効果が所得階層別・種類別にどのように異なるのかを、主としてタイル尺度に基づいて要因分解して検証しようとするものである。 平成21年度の研究実施内容は以下の通りである。 1 (1)平成20年度の研究において、「三位一体改革」の地方住民税の税率フラット化により、地方住民税による再分配効果が低下することが検証されたが、これに対応するように国税所得税の再分配機能の強化動向を源泉所得税および申告所得税について分析することが平成21年度研究の課題である。 (2)国税所得税の再分配効果を、タイル尺度による要因分解によって、所得控除効果と税率効果に区分し、どのように再分配効果が変わったのかを明らかにする。 (3)さらに、この二つの効果がどの所得階層にどのような影響を及ぼすのかについても検証した。 分析の結果、得られた結論は以下の通りである。 (1)「三位一体改革」の地方住民税のフラット化と対照的に、国税所得税は再分配機能を強化するように制度改正が実施された。 (2)タイル尺度による要因分解から、国税所得税の再分配効果の強化は、主として税率効果の上昇によってもたらされることが実証された。また、その税率効果の上昇は、源泉所得税および申告所得税とも再分配機能を強化したことが実証された。 (3)しかし、所得階層別の影響として、課税所得1,200万円超の階層では、予想に反してこの傾向は確認されなかった。その主要原因として、同階層が分離課税を選択し、分離課税対象所得の割合が高くなるにしたがって適用限界税率が低下することが確認された。したがって、現行税制に存在する分離課税制度が、国税所得税の再分配機能の強化にマイナスの効果を及ぼしている。 [研究協力者] 深江敬志(青山学院大学経済学部非常勤講師) 平成21年度の研究において、国税所得税の税務データ等の収集・整理とデータ解析を行った。
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Research Products
(4 results)