2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530300
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊池 孝美 Iwate University, 人文社会科学部, 教授 (50153060)
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Keywords | フランス経済 / 植民地 / ユーラフリカ / 欧州経済共同体 / 欧州統合 / 近代化 / 外国貿易 |
Research Abstract |
本年度は,研究の最終年度であり,図書,史料の収集,整理を引き続き進めながら,3年間に亘って収集した図書,史料の整理と分析を行った。具体的には,(1)フランス植民地およびフランス本国と植民地との経済関係に関わる基本図書,基礎史料の分析、(2)戦後再建期から1950年代のフランスとヨーロッパ諸国との政治経済関係の検討および欧州経済共同体の成立過程における交渉参加国の統合への対応を考察するために国内外の欧州統合研究の成果を収集,整理した。 この内、(1)ではINSEE, Annuaire Statistique de la FranceやDirection generale des douances et droits indirects, Tableau general du commerce exterieurを利用し、1950年代から60年代のフランス本国および海外領土の経済状況と相互の経済関係の分析を行った。この中で、本国と海外領土との貿易関係が1950年代前半から徐々に減退し、それに代わって統合に参加する国々、特に西ドイツとの関係が強化されてきたことを指摘した。さらに、Commissariat General du Planの第二次近代化・設備計画(1954-1957)および第三次計画(1958-1961)の報告書を中心に、本国の海外領土政策の分析を行った。(2)では欧州経済共同体(EEC)の成立過程での交渉参加国の統合への対応とその後の欧州統合の展開過程を考察した。この中で、フランスが海外領土の共同市場への統合を共同市場形成の前提条件として交渉参加国に提起したことを指摘した。この提起は、西ドイツとオランダの強い反対にあったが、結果的にはEEC設立条約(ローマ条約)の第4部にアフリカ諸国とマダガスカルのEECとの連合(association)が規定された。こうした経緯を経て設立されたEECは、1993年にEU(欧州連合)となり、その後通貨統合を完成させ、加盟国も当初の6ヵ国から27ヵ国に拡大している。欧州統合の展開過程を考察することは、1990年代以降のグローバル化の本格的展開とともに多くの国と地域で見られるようになった地域経済統合について考える上でも重要な示唆を与えてくれる。
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