2007 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ大企業におけるホワイトカラーの生成についての実証研究
Project/Area Number |
19530301
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 洋子 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (90202176)
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Keywords | ドイツ / 大企業 / ホワイトカラー / キャリア / 学歴 / OL / ダイムラー / クルップ |
Research Abstract |
ドイツを代表する大企業の研究を通じて、ドイツにおいてホワイトカラーと呼ばれる職員層、とりわけ企業内職員層が歴史的にどのように形成されていったかという問題を、ダイムラー・ベンツ社(現ダイムラー社)、およびクルップ社(現テュッセンクルップ社)の事例から明らかにしようとする研究である.これらの企業内文書を収集するため、平成19年度においては、夏にダイムラー社のコンツェルン文書館、クルップ社の歴史文書館を訪問し、多くの資料を収集・分析した.同時に、ベルリン自由大学比較ヨーロッパ史研究所に滞在して、学歴と職業キャリアについての資料収集を行い、その後両者をあわせた分析を行っているところである. この研究の一部、特にミドル・マネジメントからトップ・マネジメント層にいたるホワイトカラー層についての研究については、ホワイトカラー、特に経営者層の国際比較(日本・アメリカ・ドイツ)というテーマで、2008年秋に行われる経営史学会におけるパネル報告を予定しており、昨年から今年度にかけて数回の研究会および打ち合わせを行っている.また、ホワイトカラー層の教育、学校・学歴と企業内職種・キャリアとの関係については、来年度に行われる国際経済史学会(オランダ・ユトレヒト)におけるセッション報告に応募中である.ホワイトカラー層の中でも、特に女性の商業系職員については、別個に「ドイツにおけるOLの誕生」というテーマで、論文を発表する予定となっている. これらの研究を通じて、これまで明示的に検討されてこなかった大企業における教育・学歴とキャリアの関係を明らかにすることができるともとに、その国際比較を通じてドイツ企業の持つ独自性や特徴を考察するとともに、工業化や組織化に伴う、より普遍的な、各国に共通する点がどこにあるかを明らかにすることが期待される.これにより、社会の変化に伴う労働のあり方の歴史的なターニングポイントを分析することが可能となることが期待される.
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