2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 央 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 教授 (80092170)
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Keywords | ネップ / ロシア農民 / 共産党 |
Research Abstract |
本年度は、ネップ期の農村コムニスト(党員および党員候補)についての研究をつづけ、その非農民的な、場合によっては反農民的な特質について考察し、全面的集団化の暴力的性格を解明する手がかりをえようとした。農村コムニストが本質的にネップ的価値体系を理解しなかったことは重要である。一般的に、過去2度の戦争(第1次大戦、内戦・干渉戦争)などの影響で、1920年代の農村住民は年齢が若く、集団化前夜には農村人口の3分の2が25歳足らずであった。彼らは、その精神世界を排他的に革命後の情勢の中で作り上げ、粗野な階級闘争の理論を容易に受け入れた。彼らは、都市にあこがれ、農民の伝統的な価値とは最も遠いところにあった。コムソモール員(共産党の青年部)はこの強い性向をもち、そもそもコムニスト(党員及び党員候補)自身がその本質的な傾向の中にあった。いいかえれば、変革の主体は、「脱農民化」した、あるいはその過程にあったという本質的な傾向によって特徴づけることができた。集団化後、発生したコルホーズの管理部が直接的生産から乖離する傾向を示したこと、そのことが、管理部に占めるコムニストの、1920年代の非農民的、反農民的な特質と関連することを明らかにしようとした。さらに、1920年代前半にまで遡って、農村コムニストの歴史を、とくに1921年のネップ導入に伴う党粛清との関連で考察した。このとき特に農民のコムニストが除名の対象となった。 また、コロムナ(モスクワ郊外)でのロシア農民史に関する国際会議に出席して、1920年代農民史に関する報告をおこなった。
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Research Products
(4 results)