2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 央 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 教授 (80092170)
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Keywords | ネップ / 農業集団化 / コムニスト / 青年 |
Research Abstract |
本年度は、第1に、「親農民的」とされる1924年後半から1925年までの「薪コース」が現実的にはきわめて短期であり、1925年10月には、その原則には表面上確かに大幅な変更が加えられなくとも、微妙な「貧農」への力点の移動があったことを考察し、第2に、ネップ期の農村コムニスト(党員および党員候補)についての研究をつづけ、さらに農村のコムソモール員(共産党の青年部)の非農民的な、場合によっては反農民的な特質へも考察を拡大し、第3に、この政策的移動(第1点に指摘)が、第2に指摘した問題点に関連すると主張した。すなわち問題の根底は、農村コムニストやコムソモール員の「脱農民化」傾向にあり、そのなかに、全面的集団化の暴力的性格を解明する手がかりがえられると考えた。彼らは、農民の伝統的な価値とは最も遠いところにあり、変革の主体は、「脱農民化」した、あるいはその過程にあったという本質的な傾向によって特徴づけることができた。一般的に「脱農民化」は農村の青年層をもっとも強く巻き込んだ。集団化後、発生したコルホーズの管理部が直接的生産から乖離する傾向を示したこと、そのことが、管理部に占めるコムニストの、1920年代の非農民的、反農民的な特質と関連することを明らかにしようとした。2008年12月には,モスクワにおいて、「スターリン主義史:その研究と総括」なる大規模な国際会議が催され、私は、「職業の独占者としての農村コムニスト」なる論文(露文)を準備し、その要約を報告した。
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Research Products
(3 results)