2009 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀アジアにおけるグローバル化とコレラ流行-南アジアと東アジアの連関と比較
Project/Area Number |
19530314
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
脇村 孝平 Osaka City University, 大学院・経済学研究科, 教授 (30230931)
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Keywords | 19世紀 / アジア / グローバル化 / コレラ / 公衆衛生 |
Research Abstract |
主要な研究成果について、箇条書きで挙げる。 1. 平成21年8月6日に、オランダ・ユトレヒトで開催された第15回世界経済史会議のA-7セッション(「南アジアにおける労働集約的発展経路:環境・分業・生活の質」)で、「土地希少化・分業・サービス部門:近代南アジアにおける労働集約的発展経路」というタイトルで報告を行った。この報告において、19世紀後半のインド・カルカッタにおける衛生問題を、コレラ流行との関連で論じた。 2. 平成21年10月に、拙論「19世紀のコレラ・パンデミックと南アジア世界一環境史としての疫病史」(池谷和信編『地球環境史からの問い』岩波書店、2009年)が刊行された。この論文は、19世紀に南アジアから世界中に拡がったコレラ・パンデミック(世界的流行)の波及経路を、交易と生態環境という二点に焦点を合わせて考察したものである。 3. 平成22年3月13日に、中華人民共和国の上海交通大学(人文学院歴史系)で開催された「東亜環境史研究討論会」において、「19世紀アジアにおけるコレラ・パンデミックの歴史:経済史と環境史の間」という報告を行った。 本研究の研究目的は、19世紀におけるコレラ・パンデミック(世界的規模の流行)の関係史的かつ比較史的分析であったが、三つの研究課題を掲げていた。(1)コレラの波及経路、(2)飲料水の汚染問題、(3)都市公衆衛生の三つであった。上記の1は、研究課題の(3)に関係し、上記の2と3は、研究課題の(1)と(2)に関係している。平成21年度の研究計画は、三年間の研究の総括的な分析を行うことを掲げていたが、上記3で、ある程度総括的な内容の報告をした。
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