2007 Fiscal Year Annual Research Report
鉄鋼業における「チャンドラー・モデル」の移転・変容と東アジア国際分業の動態分析
Project/Area Number |
19530320
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
塩見 治人 Nagoya University of Foreign Studies, 現代国際学部, 教授 (40080238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 一郎 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (30113624)
田中 彰 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00275116)
川端 望 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20244650)
溝田 誠吾 専修大学, 経営学部, 教授 (20095988)
劉 志宏 静岡産業大学, 経営学部, 教授 (20308696)
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Keywords | 東アジア地域経済圏 / チャンドラー・モデル / 経済史 |
Research Abstract |
本研究の第1年目として9月上旬に、本研究の分析基準である「チャンドラー・モデル」の原点であるアメリカ鉄鋼業の現況を調査した。アメリカ鉄鋼業の大きな変容を確認できた。 まず(1)アメリカの伝統的製鉄地帯ピッツバーグを調査、国際圧力をうけた厳しいリストラの結果、5つの製鉄所が1つに集約されている実態を調査した。さらに(2)新興南部地域のくず鉄リサイクル型の「ミニミル」台頭を実態調査をし、工場見学と質疑応答で鉄鋼業での先端的な新動向を確認した。つぎに5大湖沿岸の旧製鉄地帯を調査し、(3)日本の自動車工場の対米進出に対応した、インランド鉄鋼(現ミタル)と新日鉄との合弁による高級鋼板への日本からの技術移転と現地日本メーカーとの取引の実態を工場調査と質疑応答で確認した。日本メーカーの高品質要求に伝統的なアメリカ鉄鋼メーカーは応えることが出来なかった実情を調査できた。また(4)アメリカ最大手U・Sスチール社のゲーリー製鉄所と世界鉄鋼業のグローバル再編を狙うミタルのアメリカでの拠点製鉄所を調査し、工場見学と質疑応答によって、両社ともに日本メーカーへ納入することを重要な戦略としており、設備の刷新・高度化に取り組んでいる現況を確認できた。 これら(1)〜(4)は、日本人の本格的な学術調査としては、これが初めてのものである。 研究分担者のうちの一人は、8月下旬に東アジアのタイ鉄鋼業を調査している。これは東アジア国際分業の一環を捉えるためのものである。 また12月には、名古屋地区で「コイルセンター」という製鉄メーカーと顧客ユーザーの間に介在する業態を調査した。日本製鉄業の高度な「製版統合」の意義は国際競争から見て大きい。 12月には、これらすべての調査を集約するために、名古屋市立大学で研究会を実施した。研究分担者全員がレポートを提出し、全体像の討論と次年度への課題を確認した。
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Research Products
(3 results)