2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本における株式所有構造の変化が企業パフォーマンスに与える影響
Project/Area Number |
19530323
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金崎 芳輔 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30204572)
|
Keywords | 株式所有構造 / 中国株式市場 / 株式の平均収益率 / リターンの決定要因 / 過去の最大収益率 |
Research Abstract |
中国企業の株式所有構造はきわめて特殊であると同時に近年急速に変化している。中国の株式市場におけるきわめて大きな特徴は、非流通株と呼ばれる、市場で取引できない国家株や法人株の比率がきわめて高かったことと、個人投資家の比率が高いことである。以上の特徴が中国株式の投資パフォーマンスに大きな影響を与えていると考え、中国株式のリターン決定要因の実証分析を継続して行った。分析期間は、2000年から2009年までである。上海証券取引所上場企業を対象として、どのような要因がリターン(長期間の平均収益率)の大小に影響を与えるかを分析した。平均収益率の大きさを説明する変数として、以下の4つを用いた。ヒストリカル・ベータ、過去5年間の収益率の標準偏差、過去5年間の平均収益率、過去5年間の最大月次収益率である。ファイナンスの理論では、ベータが高いほど平均のリターンが高いと主張するが、今回の実証研究では逆の結果が得られた。残りの3つの変数も、値が大きいほどその後の平均収益率が小さいという逆説的な結果を示した。統計手法を用いて、4の変数と平均リターンとの関係を分析した結果、過去5年間の最大月次収益率が大きな要因であるとわかった。結果の解釈として、過去に株価の上昇が大きい株式は過大評価されていると考えられる。その原因として、非合理的な投資判断をする個人投資家の持株比率が高いことが考えられる。以上の結果を得たのは、この研究が初めてであり、意味のある研究成果と考える。現段階で研究成果は日本経営財務研究学会のWPとして公表している。
|