2008 Fiscal Year Annual Research Report
製薬企業における研究開発のマネジメント-日・独・仏の比較研究-
Project/Area Number |
19530325
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
金子 秀 Saitama University, 経済学部, 教授 (20204555)
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Keywords | 研究提携 |
Research Abstract |
本年度は、ドイツの製薬企業について研究した。特に、バイエル(Bayer)社とバイオベンチャーとの研究提携(research alliance)について考察した。バイエル社は1998年〜2003年まで米国のバイオベンチャーであるミレニアム社と研究提携した。バイエル社はミレニアム社に9660万$を投資し、ミレニアム社の株式の14%を所有した。ミレニアム社はガン分野が専門のバイオベンチャーであり、バイエル社はミレニアム社が所有するゲノミクス関連技術プラットフォームを用いて、新しいゲノミクスに基づぐ医薬品のターゲットを発見することに研究提携の目的を置いていた。この研究提携が終わる頃には、450以上の医薬品ターゲットがミレニアム社によってバイエル社のために確認された。 研究提携が終了すると、バイエル社はミレニアム社の株式をおよそ3億$で売却することができ、それは、初期の株式投資の3倍の値段になる。両社は、このコラボレーションを成功と早なしたが、産業界では研究提携の成果については懐疑的であった。なぜなら、研究提携の間に同定されたすべての医薬品ターゲットのうち、確認された前臨床の医薬品候補はたった1つしか存在しなかったからである。 製薬企業とバイオベシチゼーとの関係を考察する際に、製薬企業が研究提携の手法をとるのか、バイオベンチャーを買収するという手法をとるのか、そのいずれを採用するのかによって企業戦略も大きく異なってくる。
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