2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530330
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
馬 駿 University of Toyama, 極東地域研究センター, 准教授 (00303206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 星源 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (10304081)
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Keywords | イノベーション / 中国 / 製造企業 / 研究開発 / 組織能力 / 競争優位 / マーケット・イン |
Research Abstract |
今年度は、本課題の初年度であるため、研究活動は主に現地調査と資料収集に集中してきた。まず、中国の国有企業(3社)、そして中国の民営企業(3社)に対してインタビュー調査を行ってきた。現在、インタビューの内容を整理し、まとめているところである。そして、次年度のアンケート調査の実施に向かって、中国の復旦大学、上海社会科学院、そして浙江大学の研究者と接触し、アンケート調査の協力を打診した。その結果、次年度のアンケート調査を浙江大学の研究者に協力してもらうことにした。 また、現地調査によって、現段階では以下の3つの暫定的な結論が得られた。第1に、競争がますます激しくなっている中国市揚で勝ち残るため、程度の差があるものの、中国の製造企業各社はこれまでの生産コスト重視の戦略からイノベーション重視の戦略に転換しつつある。第2に、中国国有企業は、イノベーションの重要性を十分に認識し、かつ多くの優秀な技術者を獲得しているものの、いかに有効に技術者を組織し、効果的なイノベーション体制を作るかというようなマネジメント能力が不十分であるため、いかに効果的、かつ連続的にイノベーション活動を組織していくかは現在の重要な課題となっている。第3に、中国の民営企業は、これまで同じ競争市場にある外資系企業から学びながら、成長してきたが、この数年間で知的財産権が厳しく求められてきたため、企業はイノベーション活動を最重要課題として取り上げるようになり、しかも千金も惜しまずに研究開発に必要な人材獲得に努力している。しかし、マーケットイン中心のイノベーション活動に限界があり、今後学習的組織を創造的組織に転換させていくかは重要な経営課題となっている。
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