2008 Fiscal Year Annual Research Report
情報家電産業における製品イノベーションの価格へのインパクトの研究
Project/Area Number |
19530334
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 宗彦 Kobe University, 経済経営研究所, 教授 (90362798)
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Keywords | 競争力 / 産業構造 / 製品開発力 / イノベーション / デジタル機器産業 |
Research Abstract |
研究計画どおりさまざまな産業に対してPOSデータの分析を行った。デジタル機器は典型的なセット産業である。製品のドミナントデザインが決定された後、特定のモジュールが製品の価格、数量、性能を支配する場合、支配的モジュールが存在している。このような支配的モジュール企業は、カスカム品は提供せず標準品を大量に供給することにより高い収益を上げている。ソフトウエアはハードウエアとの組み合わせによってシステム統合化され、製品化される。この場合、システム統合の支配的ツールとしては、パソコンにおけるマイクロソフト社のOSであるWindowsなどがある。市場占有率が低く価格下落が大きい場合、競争力は低いという見方をすれば、支配的モジュール、支配的システム統合ソフトウエアが存在する産業であるノートパソコンやDVDプレイヤーは日本企業の競争力は弱い。換言すれば、産業構造が水平分業化しており、モジュール化が進んだ製品アーキテクチャの製品では日本企業は競争力が低い。これは、製品性能向上のためのインクリメンタル・イノベーションがモジュール企業に支配されるため、せっかくのイノベーションがそのモジュールを購入した企業間で共有され、製品差別化の成果がモジュール企業に逃げてしまうからである。一方で、製品アーキテクチャがモジュール化していても、支配的モジュールや支配的システム統合ソフトウエアの存在が明確ではないデジタルカメラや液晶テレビ、プラズマテレビ産業では、日本企業の競争力は高い。こうした議論について、POSデータを基に、ヘドニック分析等の手法を用いた分析を行った。
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