2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本型自動車流通システムの研究-e-SCM視点によるモデル化とグローバル化の評価
Project/Area Number |
19530336
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
村松 潤一 Hiroshima University, 大学院・社会科学研究科, 教授 (30182132)
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Keywords | 日本型自動車流通システム / サプライヤー・システム / ディーラー・システム / 延期の原理 / e-SCM / BtoB&C / BtoC / 企業・消費者間関係 |
Research Abstract |
本年度の課題は2つあり、その成果は次のように纏められる。 1、サプライヤー・システムとディーラー・システムの相違点、研究の問題点、方向性の明確化 当初、情報の摺り合わせという視点から、ディーラー・システムを明らかにすることを考えたが、むしろ、後工程として最終市場を捉え、それを支える仕組みとしてディーラー・システムを意味づけることが適切との結論に至った。この意味において、生産と流通、すなわち、サプライヤー・システムとディーラー・システムは情報によって統合されている。また、こうした考え方は流通論における延期の原理と整合的だといえる。 2、e-SCM概念の精緻化による非対称的な情報化の影響の解明 e-SCM概念は生産におけるSCMと流通におけるeビジネスを情報の視点から統合的に把握するものだが、両者の情報化の影響は必ずしも同じではない。それは、SCMを構成するものがBに限定されるのに対して、eビジネスにおいてはBとCから構成されており、そこには、いわゆるBとCの情報格差という問題が内在していたからである。しかし、Cの自立性が多様的であることを考えると、依然としてその問題は払拭できるわけでもなく、したがって、BtoB&Cの仕組みであるe-SCMは、むしろ、BtoCとして把握することが妥当性を持つと結論づけられた。すなわち、Bとは部品メーカー、自動車メーカー、ディーラーであり、Cはいうまでもなく消費者である。 また、e-SCM概念は、消費者を潜在的組織参加者として位置づけてきたが、それが、消費者の非主体的、無機的存在、企業の操作対象としての消費者理解に繋がる可能性があることから、本研究では、こうした立場をとらず、企業・消費者間関係の同等性を重視することとした。
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