2007 Fiscal Year Annual Research Report
機関投資家のコーポレート・ガバナンスに与える影響に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
19530344
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
てき 林よ Osaka City University, 大学院・経営学研究科, 教授 (40236964)
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Keywords | 機関投資家 / コーポレート・ガバナンス / エージェンシー関係 / 情報の非対称性 / モラル・ハザード / 集団投資スキーム |
Research Abstract |
「機関投資家現象」という資本市場の構造的変化が究極の投資家(個人投資家)と企業を繋げる資本市場のガバナンス構造、資源配分の効率性と投資家の利益にどのような影響を与えるかを検証するために、まず、先行研究をサーベイし、意義と問題点を総括した。続いて、日本、米国と中国で進行している「機関投資家現象」と資本市場のガバナンス構造の変化を調査し、NEEDS-FinancialQUEST等のデーターバースから企業の所有構造、財務政策とパフォーマンスに関するデータを入手した。さらに、これらデータを用いて、資本市場のガバナンス構造と投資パフォーマンスに与える機関投資家の影響に関して分析を行った。 初歩的な分析結果としては以下の結論を得た。投資家保護に関する法制度がよく整備され、しかもその実効性が高い環境の下では、究極の投資家と機関投資家の間のエージェンシー問題が小さく、機関投資家経由の投資という集団投資スキームは投資家の交渉力を高め、企業に対するガバナンスを強化し、資源配分の効率性を高める。しかしながら、企業や機関投資家に比べ究極の投資家の権利が弱い環境の下では、究極の投資家と機関投資家の間のエージェンシー問題が深刻になり、機関投資家はコーポレート・ガバナンスの強化には貢献しない。
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