2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530345
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上野 恭裕 Osaka Prefecture University, 経済学部, 教授 (30244669)
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Keywords | 多角化戦略 / 組織構造 / 事業部制 / 権限委譲 / 本社組織 / 選択と集中 |
Research Abstract |
本年度は日本企業に対しての質問票調査と、イギリス企業の調査にむけての準備のためのインタビュー調査を行った。質問票調査の調査対象企業は東京・大阪・名古屋の各証券取引所に上場している鉱業ならびに製造業企業1、306社であり、各企業の代表取締役あてに質問票を送り、111社から回答を得た。有効回答回収率は8.50%である。調査の結果、次のことが明らかになった。日本企業の組織構造は事業部門制組織構造が一般的であるが、マトリックス制組織と純粋持ち株会社が増加傾向にあること、ただこれらの組織構造はそれほど固定的なものではないことである。111社中40社(36.0%)の企業が何らかの組織構造の変更を2005年〜2007年の間に行っており、組織構造は流動的である。事業部は主に製品別に分かれており、混合形態を採用している企業も比較的多く存在する。特に増加しているのが職能別事業部制である。さらに事業部門の本社によるコントロールをみると、事業部長の業績評価では、売上高や貢献利益が重視されることが多いが、事業部長への権限移譲は進んでいないことも分かった。特に事業部長は人事に関して大きな権限は持っていない。全社戦略の方向性を見ると、既存主力事業への投資を維持・強化しつつ、事業数は維持あるいは縮小させるというのが一般的な傾向であることが明らかとなった。今後は、既存事業数を維持しながら既存主力事業の維持・強化に向かうとみられる。 イギリスにおける事前聞き取り調査では、イギリスにおける大企業調査における質問票調査の有効性、定量的調査と定性的調査を併用することの有効性、ならびにコントロール変数の重要性を確認した。
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