2009 Fiscal Year Annual Research Report
多国籍企業のマーケティング・ノウハウを移転する組織能力にかんする研究
Project/Area Number |
19530348
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山口 隆英 University of Hyogo, 会計研究科, 教授 (90272096)
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Keywords | 多国籍企業 / 組織能力 / 知的資産 / マーケティング・ノウハウ / ガバメント / 所有戦略 |
Research Abstract |
多国籍企業のマーケティング・ノウハウを移転する組織能力に理解する上で、各子会社がどのようなビジネスモデルの下、設立・運営されているかを知る必要があった。ビジネスモデルの概念整理(「ビジネスモデル構築の理論的整理」『商大論集』第60巻第4号、2009年)を行い、ビジネスモデルの視点からの考え方の整理をおこなった。2009年度においては、この成果をうけて分析を進め、次の課題を理解しなければ、組織能力の発揮につながちないことを明らかにした。その課題とは、海外子会社のガバナンスの問題、つまり所有戦略である。海外子会社の所有戦略に関して、既存研究の成果として、「(マーケティング・ノウハウを含む)重要な知的資源の移転=完全所有子会社の設置」という構図が成り立っていた。市場取引が成立しない知的資産の移転には、内部市場が利用されるという内部化理論の文脈に沿う研究成果であった。しかし、知的資源を移転しなければならない子会社が設立された環境が、より大きな不確実性を抱える新興国市場のような場合、完全所有子会社を設立して、知的資産を移転することが困難になる。それは、子会社が処理しなければならない情報負荷が非常に大きい状況で、親会社と一貫性のある組織構造を作ることが子会社の情報処理能力を制約することにつながるからである(「海外子会社の所有政策と経営戦略との対応関係についての考察」『神戸商科大学創立八十周年記念論文集』2010年)。海外子会社の所有政策の在り方と、知的資産の海外子会社への移転に、内部化理論に代わる新しい構図が必要であるといえる。要するにおいて、今年度の研究において多国籍企業の組織能力の研究において、現在の内部化理論の予測できる範囲を越えて、組織能力が機能する前提条件を研究していかなければならことを明らかにしたといえる。この点は、22年度からの研究において引き続ぐ研究課題と考えている。
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Research Products
(1 results)