2008 Fiscal Year Annual Research Report
公益事業における料金制度改革と新しい料金体系の構築に関する研究
Project/Area Number |
19530358
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
石井 晴夫 Toyo University, 経営学部, 教授 (30212822)
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Keywords | 公益事業経営 / 料金制度改革 / 情報と技術 / ビジネスモデル / 顧客満足度の向上 |
Research Abstract |
本報告書では、各種の公益事業の中でも特に料金面において特徴的・革新的な取り組みが進められている鉄道、国内航空、高速道路、ガス、水道、情報通信の6つの公益事業を取り上げ、それぞれの事業分野における料金体系の「変化の度合い」と「進化の過程」について、規制改革や技術革新の進展、需要構造の変化等を踏まえながら分析を行った。その上で、新しい料金制度・料金体系の構築と導入、そして普及に向けての実現可能性と今後の課題や展望などについて研究・考察を試みた。 当該分野の既存研究における議論の中心は、分析対象である料金制度や料金体系が「経済厚生の最大化」や「資源配分の効率性」の観点からみて最適かそうでないかという点であり、既存研究では必ずしも「理論」と「実証」との整合性や適用可能性が十分に議論・検証されてきたとは言い難い面があったと言えよう。そこで、本研究では経済学からの「理論的側面」よりも、事業経営の「実務的側面」に重点を置きつつ、新しいビジネスモデルの構築の観点からの適用可能性を前提として、料金制度や料金体系について多面的に論じ、かつ具体的に示している。ここが本研究の学術上の意義および特色である。 わが国においても、人口減少や成熟型社会の到来などにより、公益事業サービスへの総需要も縮小することが予想される。他方、利用者のニーズはますます多様化・高度化が進んでいる。このような事業環境にあって、経営の健全性と利用者満足とを両立させる鍵となるのが「戦略的な料金メニュー」である。公益事業者には、魅力的な料金体系の提起により、「需要の掘り起こし」と「顧客ニーズの充足」を同時に実現し、「安全で安定したサービス」を持続的に供給することが求められている。本研究における成果は、このような課題に応えるものであり、大きな現実的意義を有していると考えられる。
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