2010 Fiscal Year Annual Research Report
企業間ネットワークの創発プロセスに関する総合研究-実態分析とシミュレーション-
Project/Area Number |
19530361
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
牛丸 元 明治大学, 経営学部, 教授 (50232822)
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Keywords | エージェント・ベースリ / ネットワーク / スケールフリー / 囚人のジレンマ / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、企業間ネットワークの自律的な生成プロセスについて、その実態を明らかにするとともに、マルチエージェントシミュレーションにより、ネットワークの創発プロセスを再現することを目的としている。既存のネットワーク分析では、中心性や構造的空隙といった関係性の分析であり、それらがどのような性質をもった個体によって生成されたのかといったミクロ分析が明らかにされていない。一方、個々の主体同士の競争と協調のダイナミクス研究では、どの個体が進化論的に勝ち残ったのかといった議論が中心であり、ネットワークの構築といったマクロ的視点に欠けている。本研究は,このマクロとミクロの分析のリンケージを試みることを目的とする。 平成22年度の成果・内容をまとめると、主として以下の2点に集約される。 1ネットワーク分析に関する主要モデルとして、従来から、ソーシャルキャピタル・モデル、弱い紐帯モデル、構造的空隙モデルの3つを指摘することができる。しかし最近では、これら社会学的なアプローチに加え、フリーライダー・モデルと呼ばれる経済学的アプローチがみられるようになってきた。そこで、企業間ネットワークについての、新たなモデルとして、フリーライダー・モデルについて検討した。そして、その適用可能性について、他の3つのモデルとのタイプ分けを行った。これにより、企業間ネットワークを分析する際の、分析枠組みが提示されることになった。研究成果は、国際会議での英語による発表と、論文として発表された。 2ネットワーク分析の実証研究結果を、マルチエージェントシミュレーションに応用していくにはシミュレーションにおける各エージェントの行動が生起する確率を知る必要がある。そのためにベイジアンネットワーク分析について概観し、マルチエージェントシミュレーションへの応用可能性について検討した。したがって、本来予定されていたマルチエージェントシミュレーションによるネットワーク生成モデルについては、十分に考察することができなかった.これに関しては、今後の課題としたい。
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