2007 Fiscal Year Annual Research Report
知識労働者のキャリアの多様化と人的資源管理-フィールドワークによる分析-
Project/Area Number |
19530370
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
三輪 卓己 Kyoto Sangyo University, 経営学部, 准教授 (10440869)
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Keywords | 知識労働者 / プロティアン・キャリア / ネットワーク / 自己概念 |
Research Abstract |
知識労働者の先行研究、ならびに先進的なキャリアの先行研究をレビューし、知識労働者のキャリアの重要なポイントとして、1.組織を超えた移動、2.役割の変化、3.継続的な学習、4.ネットワーク形成、5.自己概念の変革などをとりあげた。 そのうえで、主にソフトウェア技術者と経営コンサルタントを対象として、40名の知識労働者にインタビューを行い、上記のポイントについて分析を行った。 その結果、日本の知識労働者のキャリアには、A.移動や変化が少ないエキスパート型、B.多様な役割を担うようになるプロジェクト・マネジャー型、C.外部での活躍を求める自律・フリーランス型、D.変化や移動の激しいプロティアン型などがあることがわかった。そしてそれぞれのタイプによってネットワークや学習の形態が異なっており、それらが自己概念とも関係していることがわかった。プロジェクト・マネジャー型の知識労働者は、エキスパート型と比べ、学習内容やネットワークとしての交流先が多様であり、学際的な傾向が強かった。一方、自律・フリーランス型では、組織外部の同業者との交流が盛んに行われており、それらを通じた先進的な専門知識の学習が活発であることがわかった。最後にプロティアン型では、多種多様な職種や業種の人や組織との交流が活発であり、それを通じての学習は多様な目的に活用されていた。そして彼らはキャリアの過程で何度も自己変革を繰り返し、自分独自のユニークな活動領域と自己概念を形成するに至っていた。 またプロティアン型には起業家やプロデューサ人材、戦略コンサルタントなどが多く含まれており、知識・情報社会のキャリアを考える上で、特に重要な研究対象だと認識された。
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