2008 Fiscal Year Annual Research Report
関係性のパターンと管理会計の適合性に関する経験的研究
Project/Area Number |
19530405
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 彰吾 Nagoya University, 大学院・経済学研究科, 教授 (10225039)
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Keywords | コラボレーション / 企業間関係 / 育成購買 / 企業間の貸し借り / 関係性のパターン |
Research Abstract |
本年度は、ヒアリング調査から得られた知見の理論化を行った。その結果、次のことを明らかにした。 日本の製造企業において、組織構成員のコラボレーションが競争力の源泉であることが明らかになった。その一方で、製造現場が原単位でオペレーションを行うのに対し、本社が財務数値を用いて経営管理を行うため、製造現場と本社の関係性が経営上の課題であることも明らかになった。日本企業はこのようなコンフリクトを調整するメカニズムを有することが明らかになった。 また、企業間の関係については、育成購買、貸し借りなどの日本企業独特の実務を明らかにし、それらの実務を経済学的なモデルで理論化した。育成購買、貸し借りなどの日本企業独特の実務が長期的な信頼関係を前提とし、企業間の協働を促進していることを明らかにした。また欧米企業と比較すると、欧米企業が短期でかつ契約重視の企業間関係を構築する傾向があり、そうした企業ではオープン・ブック・アカウンティングという原価情報共有の仕組みを用いて、企業間の協働を促進することが明らかになった。その上で、協働の利益をどのように企業間で配分するかということが経営上の課題であることも明らかになった。さらに、ミクロ・マクロ・ループを援用することによって、企業間関係に係る組織文化・風土が信頼構築の寄与し、企業間の協働を促進することを明らかにした。 これらのことから、メガ・コンペティションにおいて組織構成員や企業同士の協働を促進する関係性のパターンの重要性が明らかになり、そうした関係性のパターンを実務に適用していく方針が明らかになった。
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Research Products
(4 results)