2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530408
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 桂一 Kyushu University, 大学院・経済学研究院, 准教授 (10284605)
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Keywords | PFI / 国際会計基準 / IFRIC 12 / EU / 会計規制 / 収益認識 |
Research Abstract |
本年度はまず、昨年度に引き続き、欧州におけるPFI会計基準および各国のPFIに関連する制度や法規制について、Public Private Partnership and PFI、Butterworths PFI ManualおよびPPP in Europeなどを用いて研究した。また、国際財務報告基準解釈指針のIFRIC 12のEU域内基準化をめぐる加盟国間の対立をEFRAGおよびARCの議事録をもとに検討し、グローバルな会計規制におけるそのインプリケーションを明らかにした。すなわち、IFRIC 12の承認をめぐるEU内の対立は、「世界政府」なきグローバル社会における規制のあり方の変容、およびグローバル・ガバナンスの-端を担うIASBの役割の増大を示唆しているのである。なお、公的部門側の問題としてはPFI資産・負債のオンバランス問題があるが、2009-10財政年度から英国中央政府機関に適用されるIFRSベースのFReMを題材に、その影響を明らかにした。こうした点に関する研究成果の一部を日本会計研究学会九州部会で報告した。 また、IFRIC12における認識・測定に関しては、その特徴として「リスク経済価値アプローチ」ではなく「支配アプローチ」を採用している点が挙げられるが、その結果として民間部門側のPFI関連資産として金融資産が計上されるのか、それとも無形資産が計上されるのかで、収益認識のあり方は大きく異なってくる。この点について、今後予想されるPFI会計基準の改定とも深く関わっていることから、IASBとFASBの共同プロジェクト「収益認識」の進捗状況、特徴と問題点、および両ボードの戦略を検討し、その研究成果の一部を『企業会計』に発表した。 以上のような研究成果は、我が国における民間部門のPFI会計基準の設定や、公的部門のマネジメントの改善とVFMの向上にむけたさらなる研究に貢献できると考えられる。また、それだけでなく、近年ますます現実味を帯びてきている国際会計基準のアドプションがもたらす影響を検討する上でも、重要な示唆を与えていると言える。
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Research Products
(2 results)