2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530410
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
細海 昌一郎 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 准教授 (80287953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 清 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (50239399)
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Keywords | 知的資本 / 組織資本 / 企業業績 / 質問票調査 / 共分散構造分析 |
Research Abstract |
本研究課題の研究期間は4年を予定しているが、研究開発投資等と企業価値の間に介在する組織資本と企業価値の関係を、財務データベースやその他のデータを用いた分析によって明らかにしたいと考える。 本年度は、上場企業管理職を対象とした質問票調査データと財務データを組み合わせて、共分散構造分析を用いて、知的資本と企業業績の関係の一端を実証的に明らかにすることを試みた。特に、重要な知的資本であるが定量的に捉えることが難しい組織資本が、企業業績に対してどのような影響を与えているかに注目して分析を試みた。 分析の結果、イノベーション資本は、僅かであるが、企業業績にプラスの影響を与えているという結果になった。また、関係資本は、僅かにプラスであるが、企業業績にほとんど影響を与えてはいないという結果になった(ただし、有意ではない)。それに対して、組織資本は、研究仮説に反して、僅かであるが、企業業績にマイナスの影響を与えているという結果になった(ただし、有意ではない)。しかし、組織資本は、イノベーション資本や関係資本にプラスの大きな影響を与えていることが観察された。 本研究の分析結果は、質問項目や企業業績にとった項目を変えているにも関わらず、組織資本の係数がマイナスで有意でない点など、先行研究(Tseng and Goo[2005])の分析結果と多くの点で一致していることは注目すべき点であると思われる。しかし、イノベーション資本のプラスの値が小さい点や関係資本が有意ではなった点は先行研究とは異なる点であり、今後さらなる分析を試みたい。
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