Research Abstract |
本研究では,東証1部,2部上場企業を対象とした質問票調査により,質問票データと財務データを組み合わせ,共分散構造分析を用いて,知的資本と企業業績との関係の一端を実証的に明らかにすることを試みた。 分析の結果,イノベーション資本は,企業業績にプラスの影響を与えているという結果になった。しかし,組織資本は,研究仮説に反して,企業業績にややマイナスの影響を与えているという結果になった(ただし,有意ではない)。 また,関係資本は企業業績にプラスの影響を与えているが,それほど大きな影響は与えていないという結果になった(ただし,有意ではない)。 特に,組織資本の効果は企業業績に対して直接的にあらわれるのではなく,人的資本と同じように,間接的にあらわれる可能性が高いと思われる。 前述のように,本研究の分析結果は,先行研究(Tseng and Goo,2005)の分析結果や細海(2009)の分析結果と一致している点が多いことは,注目すべき点であると思われる。今後さらなる研究を試みたい。 また,追加分析として,企業の主観的業績を企業業績にとった場合の各知的資本との関係を分析した。特に,統計的に有意ではないが,主観的業績では組織資本が企業業績にプラスの影響を与えているという結果となった。
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