2007 Fiscal Year Annual Research Report
訂正報告書データベースの構築とその経済的意義の研究
Project/Area Number |
19530420
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
奥村 雅史 Waseda University, 商学学術院, 教授 (30247241)
|
Keywords | 財務会計 / 会計監査 / 訂正報告書 |
Research Abstract |
本年度は,データベースの作成と研究論文のサーベイを行った。前者については,金融庁のEDINETを利用することによって2003年から2006年に提出された訂正報告書に関するデータベースを作成した。訂正報告書を読むことによって,会社名,株式コード,提出日,有価証券報告書の目次にもとついてどの部分で訂正が生じているのかを識別できるデータベースを作成した。2003年についてはEDINETが本格稼働していないために件数は多くないがその後は急増していること,西武鉄道事件を契機に実施された有価証券報告書の点検による件数め増大のみならず,その後も継続的に提出件数が高水準で推移していることがわかった。今後予定されている内部統制監査に対応することからの影響が大きいものとみられる。そのような中,とくに,会計情報についての訂正(財務諸表本体の数値および注記における訂正)も相当程度の件数が存在しており,その内容をさらに詳細にデータベース化しつつある。さらに,これと並行して,東京証券取引所が提供している適時開示情報データベース(TDnet)を利用して,決算短信における訂正についてもチェックにとりかかっている。後者については,これらのデータベースを分析する際の分析視点を整理するために,米国における財務諸表の修正再表示(restatement)に関連する研究をサーベイし,現在,サーベイ論文を執筆中である。とくに,財務諸表の訂正公表に対する株式市場の反応および訂正を公表した企業におけるガバナンスの特徴が訂正報告書の経済的機能をを分析するための重要な分析視点であることを確認した。なお,研究のサーベイと日本における財務諸表の修正に関する現在までの知見を,早稲田大学オープンリサーチセンター主催のセミナーにおいて報告した。
|