2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530422
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
杉本 徳栄 Kwansei Gakuin University, 経営戦略研究科, 教授 (50206695)
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Keywords | 会計学 / 国際会計 / 会計基準 / コンバージェンス(収斂) |
Research Abstract |
アメリカ証券取引委員会(SEC)や金融庁・企業会計審議会による国際財務報告基準(IFRSs)の導入規制の動向を踏まえて、とくに日米両国の会計基準のあり方について検討を行なった。 企業会計審議会の「わが国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」(2009年6月30日)は、規制当局に連結財務諸表規則等においてIFRSsの適用を認めるための規定の整備の必要性を説いている。これを受けて、金融庁が提示した連結財務諸表規則改正案等は、「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」の定義やその構図にIFRSsを取り入れた。国内的見地と国際的見地の両面から、会計基準設定とIFRSsの問題について検討を行なった(「会計基準設定とIFRS」、中央経済社編『IFRS導入の論点』(別冊企業会計)中央経済社、2009年)。 また、IFRSs導入問題について、(1)先行導入事例からの学習効果、(2)教育問題および(3)ディスクロージャー規制に関わる諸問題について学会報告を行なった。 まず、2011年からIFRSsを強制適用する韓国での任意適用(早期適用)の事例をもとに、IFRSs導入に伴う諸問題を明らかにし、同時にこれらは、日本におけるIFRSs導入に際しての有益な示唆となることを明らかにした(国際会計研究学会第26回研究大会報告)。また、SECの「アメリカの発行体がIFRSsに準拠して作成した財務諸表の使用可能性についてのロードマップ:規則案」(2008年)におけるIFRSs導入のための7つの重要な課題(マイルストーン)や企業会計審議会の「中間報告」(2009年)における6つの諸問題にそれぞれ掲げられている「IFRSsの教育と訓練」の重要性をもとに、とくに学士課程におけるIFRSs教育の基盤が脆弱で、早急に整備し展開する必要性を説いた(日本会計教育学会第1回全国大会統一論題報告)。財務諸表の質的特性ないし会計情報の質的特性のなかで、国際会計やIFRSsなどでは比較可能性を重視することがひとつの特徴でもある。しかし、これまでの日本のディスクロージャー規制の展開には、この比較可能性という質的特性を必ずしも重視していないとも解し得る制度上の事例がみられる。IFRSs導入が現実味を増すなかで、アメリカのディスクロージャー規制との対比などから、IFRSs導入をめぐるディスクロージャー制度とその研究の課題と展望についての検討結果を明らかにした(ディスクロージャーー研究学会第11回研究大会統一論題報告)
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Research Products
(4 results)