2009 Fiscal Year Annual Research Report
イエ存続戦略と地域ネットワークの展開に関する経験的研究
Project/Area Number |
19530426
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
永野 由紀子 Yamagata University, 人文学部, 教授 (30237549)
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Keywords | イエ / ムラ / 家族 / 地域 |
Research Abstract |
研究の完成年度にあたる本年度は、(1)(2)の地区で補充調査を実施すると同時に、これまでの研究成果を集約して国内及び海外の学会で発表し、質疑応答をとおして研究テーマに関する知見を深めた。その結果、アジアという視野で、これまでの研究成果を位置づける必要が明らかになり、アジアの地域や家族と比較して、日本のイエやムラの特質を明らかにするという今後の研究課題が明確になった。 ◇補充調査の対象地域 (1)東北農村の事例:山形県鶴岡市H地区 (2)東日本の山村の事例:岐阜県大野郡白川村 ◇研究テーマに関して得られた知見 ・(1)(2)は、積雪量が多いため世帯減・人口減が顕著な地域である。 ・(1)の地域では、家屋の建て替えの時期に、通勤兼業がしやすい近隣の平場に転出するかたちの挙家離村が多い。親夫婦を残して若い夫婦だけが転出するケースは少なく、高齢者の単独世帯や高齢夫婦だけの世帯は多くない。 ・(2)は、通勤兼業が困難であるが、世界遺産登録後、若い世代のUターンやIターンによって人口減・世帯減がとまっている。 →◎結論:日本のイエの特質 通勤兼業や観光などの条件によって、現代でもなお嫡系夫婦二世代が同居するイエは存続している。イエの統合性は、イエを取り巻く生活諸条件の変化によって変化する。一子単独相続によって超世代的に連続するイエは、近代化や産業化のなかで解体したとは単純に言いきれない。
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