Research Abstract |
情報を活用した生活様式と,行動の新しいルールを明らかにするために,情報行動,メディア行動に関する調査研究文献,そして政府,自治体の情報化施策に関する文献を調べ,現状と課題について整理を行った。「情報行動は,一定のパタンと,そして新しい要素,形態への接近という両面性を持ち,それぞれに対応した情報に関わる生活が繰り広げられている」,という枠組みを設定し,それに対応させながら,情報行動の実態を明らかにするためのデータを集めた。平成19年度は,生活の基盤となる地域社会の中で,特に都道府県レベルに焦点を当て,アンケート調査票を用いた定量的調査,インタビューによる質的調査を行い,データと資料を収集した。 生活基盤としての行政の領域での情報化に関して,アンケートの概要は,次のようであった。県の定型的な行政事務に関してはかなり進展しており,それに伴うシステムの維持,管理,セキュリティに関して,具体的な関心が払われている。ネットワークを利用した市民との関係は,ホームページへのアクセス数は増えているものの,それ以上の活用,たとえば電子掲示板,電子会議室というところまでには至っていない。地域SNSは現状ではほんのわずか(計画中が12.1%)で,県のレベルでは広がりは予想されない。 行政機関同士の関係では,ほかの都道府県との交流が半数の県で増加した。国との関係はむしろ国からの情報の流れが増えるか,あるいは変化が生じていない。市町村自治体との関係でもつ県の位置づけに関しては,依然として問題を抱えている。以上から,情報化の進展に伴い,県と自治体との関係の問題が改めて浮上し,「今後どのように設計していくかの分かれ目にさしかかっている」いえる。この点を,今後の社会的ネットワーク形成に関わる課題として,次年度以降さらに検討していきたい。
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