2007 Fiscal Year Annual Research Report
国際結婚と「東アジア共同体」:日本人-タイ人の結婚を中心として
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19530439
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤井 勝 Kobe University, 人文学研究科, 教授 (20165343)
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Keywords | 国際結婚 / 東アジァ / タイ人 / 日本人 / 夫婦 / 家族 / 社会開発 / 異文化 |
Research Abstract |
1.本年度は、主にタイ人女性-日本人男性の結婚に関する調査を実施した。日本の農村部:長野県佐久地域、都市部:関西圏等で各10事例程度、タイの東北地方でタイ人女性の実家10事例程度の聞き取り調査を行った。さらにタイ東北地方では、佐久地域で調査対象者となった女性の実家3か所でも聞き取りをした。日本・タイの行政機関での資料収集により全体的な把握にも努めた。 2.結婚のタイプは、そのプロセスによって以下のようになる。(1)ブローカーを通じてタイ人女性が来日、飲食・サービス業に従事し、知り合った日本人(主にお客)と結婚。(2)タイにある結婚斡旋所を通じて日本人と結婚し、日本で生活。(3)仕事、勉学、旅行などでタイに滞在中の日本人男性と知り合って結婚、日本で生活。そして、タイプごとに夫婦・家族関係が異なる。(1)は法的社会的問題を内包するが、よい日本人男性とめぐり合い幸福な家庭生活を築く場合も少なくない。(2)は近年増加しているが、短期間に結婚を決めて日本で生活をするために、夫婦関係の問題を抱える。(3)は、とくに女性がタイでOLや学生の場合は日本では都市中間層的な家族生活を送るが、「夫不在」の問題が生じることもある。 3.この国際結婚は主にタイに利益をもたらという認識は一面的である。仕送り等の経済的援助によってタイの実家が特別に豊かになるわけでない。今日ではタイの地方でも生活水準は高いので、仕送りを頼りに豊かな生活は送れない。逆に、日本での生活が厳しいためにタイの実家に送金しない、また音信不通になることもある。一方、とくに日本の農村や地方に暮らすタイ人女性に注目すれば、彼女らは伝統的な家族のなかで夫を支え、子供を育て、さらに地域活動に参加することにより、日本の地方社会の維持や活性化に大いに貢献している。日本ほうがより多く恩恵を受けているとさえ言える。
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Research Products
(2 results)