2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国に生きる残留日本人・日系人-ポスト・コロニアル時代の「国民」と「人間」
Project/Area Number |
19530440
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浅野 慎一 Kobe University, 人間発達環境学研究科, 教授 (40202593)
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Keywords | 残留日本人 / エスニシティ / 国民国家 / ナショナリズム |
Research Abstract |
本年度、下記の2点で、当初計画をほぼ達成できた。まず第1に、中国在住の残留日本人に対するインタビュー録音・録画データの翻訳と解析を行った。その結果、既収集データの9割以上について作業を完了することができた。次年度より本格的な質的考察に着手するための基礎作業がほぼ完了した。第2に、中国で初の本格的な残留日本人孤児に関する研究書である関亜新・張志坤著『日本遺孤調査研究』社会科学文献出版社の翻訳作業を、ほぼ終えることができた。この成果は2008年5月、『中国残留日本人孤児に関する調査と研究』不二出版として刊行される予定である。 また本年度、当初計画以上に、下記の3点で成果をあげることができた。第1に、中国在住の残留日本人・2名について新たなインタビュー調査を、また3名について補足インタビュー調査をそれぞれ実施し、貴重なデータを追加収集することができた。第2に、日本に帰国した中国残留孤児の帰国前の生活実態に関する調査結果の解析に着手した。このデータの一端は、平成19年度の研究成果欄に記したもの以外に、論文「中国残留孤児の『戦争被害』一置き去りにされた日本人の戦後処理被害」として『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』に投稿中(2008年9月刊行予定)である。また引き続き、「中国における残留日本人孤児の労働-生活史・誌(仮題)」というタイトルで現在、論文を執筆中である。そして第3に、中国側の当該分野の重要文献・資料を追加収集することができた。
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