2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア日系「帰還」移民のアイデンティティと市民権に関する研究
Project/Area Number |
19530443
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大野 俊 Kyushu University, アジア総合政策センター, 教授 (10448409)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 真里子 上智大学, 一般外国語教育センター, 講師 (10453614)
大久保 明男 首都大学, 東京・人文科学研究科, 准教授 (10341942)
|
Keywords | 日系人 / アイデンティティ / 市民権 / 帰還移民 / 世代「格上げ」 |
Research Abstract |
1.(1)フィリピン日系人(二世、三世、四世)については、前年度に続いて日本・フィリピンで実施の日系人からの聞き取り調査を踏まえ、大野と飯島が共同で、彼らのアイデンティティ、市民権、就労と生活等に関するアンケート調査票(英語とフィリピノ語)を作成。その後、在京の日系人支援団体を通して日本各地の職場や居住先に約千通の調査票を配布した。さらに、東京での日系人の集会や、愛知県内の人材派遣会社の協力を得て彼らの職場や宿舎での手渡しアンケート調査も実施し、合計で216人の日系人から回答を得た。この規模の在日フィリピン日系人調査は今回が初めてで、長期定住化・永住化傾向、「世代格上げ」運動の広がり、職場・生活環境にも由来すると見られるフィリピン人アイデンティティ保持の強さ等が判明した。 (2)彼らのアイデンティティと市民権についての研究成果は、大野や飯島がアメリカ人類学会年次大会、シンガポールでの国際ワークショップ等で発表した(「研究発表」の項参照)。 2.インドネシア日系人(二世と三世)については、前年度のインドネシア調査を踏まえ、浜松、豊橋などの集住地域で、インドネシア語が堪能な研究協力者の林英一(慶応大学大学院生)ととともに、10世帯を対象にしたインタビュー調査を実施、人材派遣会社、地元自治体等の関係者からの聞き取りも行った。フィリピン日系人同様、定住・永住化傾向を強め、伴侶や子供との同居世帯が増えているものの、不安定な雇用状況も判明した。 3.中国残留日本人の子孫である中国日系二世・三世については、「中国帰国者二世・三世の会」代表で、研究分担者の大久保明男の全面的協力を得ながら、首都圏でキーインフォーマントの5人を対象に長時間インタビューを実施した。サンプル数は限定的だったが、日本国籍取得などで日本社会への同化が進んでいる一方、残留者の父母のジェンダーの違いによるアイデンティティの相違も観察された。
|
Research Products
(12 results)