2007 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の戦後復興をめぐる歴史社会学的考察:1950年代を中心に
Project/Area Number |
19530447
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
波平 恒男 University of the Ryukyus, 法文学部, 教授 (00145517)
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Keywords | 沖縄研究 / 戦後復興 / 基地経済 / 占領研究 / ジェンダー / 植民地主義 |
Research Abstract |
本研究は、主として1950年代の沖縄/琉球の戦後復興に焦点を当てながら、1972年の施政権返還までの時期の戦後沖縄における政治・社会・文化の発展と変容について総合的に解明することを目的としている。米国の沖縄長期保有の方針が固まる1950年前後の時期以降、沖縄本島で米軍の恒久的基地建設が始まったが、それに伴う巨額のドルの放出は、沖縄の戦後復興の在り方を大きく規定し、その影響は深く今日に及んでいる。そのことを、沖縄内部における地域的差異性、階級、ジェンダー等の視点を組み込みつつ、歴史社会学的に解明することが課題である。 以上の課題を果たすために、本年度の研究では、1950年代における基地経済の形成のメカニズムを解明し体系的に提示できるように、データの収集・整理とその読み込みに努めた。また、それと関連して、沖縄本島中南部における都市化と人口集中、歓楽街の形成、就業構造とその変化、都市化の反面としての伝統村落の変容の問題などを明らかにするために、戦後初期の公文書、新聞、雑誌、政治運動関連で書かれた文書等の史料や、今や膨大な量に達する市町村史や字史などの2次資料等の中から、本研究に関連する資料を渉猟収集し、その整理を行なった。 以上の作業と併行して、本年度に初めて復刻刊行された占領期の宮古諸島の新聞『宮古民友新聞』『みやこ新報』(『占領期・琉球諸島新聞集成』第1-3巻、不二出版)の読み込みとデータ整理を行なった。 また、本研究と間接的に関連する実績ではあるが、戦後の帰属論争や復帰運動における政治意識の研究という課題をも見据えながら、戦前期の沖縄における日本への「同化」の問題をテーマについて「教育の普及と同化の論理」の原稿を執筆し、『沖縄県史 各論編5 近代』(2009年1月刊行予定)に収録するため寄稿した。
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