2008 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の戦後復興をめぐる歴史社会学的考察:1950年代を中心に
Project/Area Number |
19530447
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
波平 恒男 University of the Ryukyus, 法文学部, 教授 (00145517)
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Keywords | 沖縄研究 / 戦後復興 / 占領研究 / 植民地主義 |
Research Abstract |
研究では、主として1950年代の沖縄/琉球の戦後復興に焦点を当ながら、1972年の施政権返還までの時期の戦後沖縄における政治・社会・文化の発展と変容について総合的に解明する。米国の沖縄長期保有の方針が固まる1950年前後の時期以降、沖縄本島で米軍の恒久的基地建設が始まったが、それに伴う巨額のドルの放出は、沖縄の戦後復興の在り方を大きく規定し、その影響は深く今日に及んでいる。そのことを、沖縄内部における地域的差異性、階級、ジェンダー等の視点を組み込みつつ、歴史社会学的に解明することが課題である。以上の課題を果たすために、本年度の研究では、1950年代から60年代にかけでの基地経済の形成・発展と、それと関連した都市化その他の社会変容をより詳細に解明することに努めた。60年代の沖縄経済は、日本の高度経済成長と類似して、外形的には高成長を果たした。しかし、それはベトナム戦争などの要因で基地関連収入が増大したことが主要因で、製造業の拡大や生産性向上に裏打ちされたものではなかった。また、沖縄の内部におけるドル獲得(基地雇用)機会の地域的偏在性も持続したが、50年代末から砂糖とパインの輸出が年々増大したことが、本島中南部と本島北部や離島との間の経済格差の拡大を幾らかは緩和することになった。本年度の研究では、以上のような50年代と60年代の基地経済の変化と連続性を実証的に明らかすること、また、こうした経済条件の変化・連続性と関連して生じた社会変容、さらには政治運動を具体的に解明することにも努めた。
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