2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハンセン病問題の比較社会学的研究―心理・社会的リハビリテーションの視点から
Project/Area Number |
19530454
|
Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
蘭 由岐子 Kobe City College of Nursing, 看護学部, 准教授 (50268827)
|
Keywords | ハンセン病 / 支援 / 国際交流 |
Research Abstract |
本年度は、ハンセン病者と支援者との交流活動に参加し、活動の実態とその意味について調べた。たとえば、ある入所者の療養所外での活動を支えたのは、療養所職員の入所者を支える思いであった。地域のある施設において会合が開かれた。そこには若い頃その入所者との交流によって療養所内で「育てられ」、現在は退所して「社会」に暮らす回復者たちも参加し、旧交をあたためるだけでなくかつて病者支援にかかわったひとたち、地域のひとたちとあらたなつながりをもつ機会となった。ほかにも、ハンセン病訴訟以降、病者支援の動きは強まり、学術的観点からの交流も活発になっている。金沢大学の井上英夫氏の研究グループでは、ノルウェーベルゲン市のハンセン病博物館から学芸員らを招き、シンポジウムを開いた。ノルウェーの取り組みは、もはや患者がいなくなった社会がどのようにハンセン病者たちと結びついていけるのかを示した好例であろう。学芸員はノルウェーにおけろハンセン病回復者たちの国際組織IDEA代表として世界的ネットワークの結び目の役目を果たしている。病者支持の国際的な連携は、他方、日本の若者たちがアジアにおいて行うワークキャンプの形で、着実にその根を広げている。中国では、現地の大学生たちを巻き込んで2000人規模の活動が実現している。このような国内外での病者支持の取り組みは、2008の第17回国際ハンセン病会議の動向-当事者による運動によるアイデンティティの確立・復権-を思い近したとき、その動向を作り出したものであり、かつ、その動向の影響を受けたものであることに気づかされる。さらに、そのような世界の動向を下支えする組織として、従来、ハンセン病の医療面の支援に尽力してきたある財団の活動を指摘することができる。2月に訪問したインドネシアの回復者の村もこの潮流のなかにあった。
|
Research Products
(1 results)