2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハンセン病問題の比較社会学的研究―心理・社会的リハビリテーションの視点から
Project/Area Number |
19530454
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
蘭 由岐子 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (50268827)
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Keywords | ハンセン病 / 国際的支援 / 退所者 / スティグマ |
Research Abstract |
本年度は、ハンセン病市民学会をはじめ、国内外での啓発活動に参加し、療養所内外の回復者と支援者の交流の参与観察をおこない、また、適宜、聞き取りをおこなった。 1000名を優に超える参加者があった市民学会の熱気は驚くほど高く、また参加者が長島に集まった様子はかつての療養所の人口密度が再現されたように思え、往時の療養所をイメージする貴重な手がかりとなっていた。なじみの支援者たちと安心して交流している回復者たちの姿は学会がまさに回復者支援の場として機能していることを示していた。また、ソウルで催された世界ハンセン病フォーラムに参加し、宿泊拒否事件のときの差別文書について報告した。つい最近の日本で起こったこの差別事件に関する報告は、聴衆たちに大きなインパクトをもたらした。フォーラムでは、韓国をはじめ世界各地のハンセン病回復者の自立の試みや支援者たちの支援の取り組みがあることが明らかになった。とりわけ韓国では、定着村と地域との関係性の構築が焦点になっていた。他方、療養所では、訴訟の文脈と真っ向から対立するような、療養所収容に「感謝」し、「被害をまったく訴えない」語りも健在で、そのような語りに耳を傾けてくれる外来者を待っている様子がみてとれた。 連携研究者の協力で、かつてある地域でハンセン病患者の療養所への収容に関係した医療関係者の経験の一端を知ることができ、また、地域での回復者の受け入れに医療関係者がどのようにかかわっているのかもあきらかになった。
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Research Products
(2 results)