2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後世代による原爆被害の記憶の継承に関する社会学的研究
Project/Area Number |
19530463
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浜 日出夫 Keio University, 文学部, 教授 (30135644)
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Keywords | 原爆 / 集合的記憶 / 世代間継承 |
Research Abstract |
(1)被爆者調査史調査 一昨年度、昨年度に引き続き、戦後継続的に行われてきた被爆者調査をそれ自体原爆の記憶の変遷を示す資料として読み直す作業を行った。21年度は一橋大学が1960年代から現在まで継読して行っている被爆者調査および広島大学が1960年代に行った爆心地復元調査を中心に文献調査を行った。また文献調査と並行して、一橋大学で40年以上に亘って被爆者調査を行ってきた濱谷正晴教授、および広島大学で故湯崎稔教授とともに被爆者調査を行った児玉克哉三重大学教授への聞き取り調査を行った。この結果、慶應義塾大学・一橋大学・広島大学による被爆者調査が1965年と75年に実施された厚生省による原子爆弾被害者実態調査に対する三様のリアクションとして位置づけられることが確認できた。 (2)中鉢コレクション調査 1965年と75年の厚生省調査に参加した慶應義塾大学中鉢正美教授が慶應義塾大学図書館に残した被爆者調査関連資料(「中鉢コレクション」)の調査を行った。残されている調査票から両調査が被爆者の生活構造の変化を明らかにするためのパネル調査として企画されたことが判明した。 (3)相原資料調査 昨年度に引き続き、在野で原爆被害の調査を行ってきた故相原秀次氏が広島平和記念資料館に寄贈した資料(「相原資料」)の調査を行った。中鉢コレクションに残されている相原秀次氏関連の資料から両者の間の研究交流の実態が明らかにできた。 (4)『社会学評論』特集「記憶と場所」企画編集 日本社会学会機関誌『社会学評論』第60巻第4号(2010年3月発行)で特集「記憶と場所」を企画編集するとともに、本研究の成果の一部を論文「記憶と場所」として発表した。
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Research Products
(1 results)