2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530470
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山下 充 Meiji University, 経営学部, 准教授 (00318726)
|
Keywords | 社会学 |
Research Abstract |
人事部門は企業内において人的資源を管理・活用する上で中心的役割を果たしている。特に,日本企業においては部門ごとにコアの従業員にかかわる採用・解雇権限が委譲されておらず,相対的に人事部門が強い権限を行使してきたといえる。また,人事部門は人事制度の様々な制度設計において主たる役割を担っており,日本型人事労務管理の形成に大きな役割を果たしてきた。このような重要性にもかかわらず,国内研究において人事部門の歴史的な実態解明は断片的で,立ち後れたものになっている。 特に,その集権的性格,人材の調達と育成,現場部門との権限関係については,日本型の人事管理の将来展望を考える上でも重要であるが,実態と理論化の双方において不十分な状態にある。本研究は,日本企業における人事部門の発展を明らかにすることで,この課題にこたえるものである。本研究がめざす人事部門の通史的研究は,これまで国内には存在しておらず,本研究の知見は,単に国内の学界に留まらず,人事部門・人的資源管理の国際比較において,極めて重要な一次資料となりうると考えられる。 初年度は資料調査及び経営者団体の協力を得ながらプレ調査をおこない,近年の傾向について概括的な理解を進めることをおこなった。2000年代に入り,日本企業の人事部門は様々な要因から縮小される傾向がみられるようになった。人事部門では業務のアウトソーシングが進む一方で,自部門のスタッフ育成をはじめとして様々な課題を抱えることになってきた。次年度以降はこのような変化を歴史的な変遷の中で捉えることを課題としたい。
|