2008 Fiscal Year Annual Research Report
自然環境を媒介とした共同性構築過程に関する研究-人と自然の関係誌を読み解く-
Project/Area Number |
19530471
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
関 礼子 Rikkyo University, 社会学部, 教授 (80301018)
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Keywords | 物語 / 共同性 / 負の記憶 / 自然環境の保全 |
Research Abstract |
本研究の第1の目的、共同主観的ないし社会的に形成される自然環境評価軸を念頭においた自然環境の保護・保全の可能性について、多面的な機能を織り込んだ制度設計が生業の持続可能性とともにあることを、帯広市の事例で明らかにした(「共」をつくる半栽培の「物語」:印刷中)。ここでは、共同性構築過程を、「物語」という概念で、動的につくられるものとして提示した。 また目的の第2のうち、自然保護との矛盾を抱えつつ再構築される共同性について、そのプラスの側面を、えりも町の事例で明らかにした(学会報告、論文印刷中)。漁村(地域)の多面的機能として、特に自然景観、環境教育、観光資源としての優位性があり、生業の持続可能性と自然環境の保全とがリンクすることを示した。特に生業の持続可能性が、複合しうる生業の存在という点に結びつけて考えた点にオリジナリティがある。 上記2点については、農業や漁業に関する施策を、当該地域の自然環境を形成してきた歴史過程に着目しつつ、他の一次産業との複合的視座をもったものとして捉えることが必要であろう。特に、景観として自然環境を考える場合には、歴史的過程への着目は欠くことができない。 最後に、第3の目的のうち、公害問題という「負の記憶」を、地域のなかに書き込むことの重要性について、新潟県フィールドミュージアム事業(FM事業)の展開を丹念に追いかけ、データを蓄積した。本研究のコンセプトの一部は現地での講演などで紹介し、研究内容を地域還元している。また、収集写真データの一部も、現地で開催された水俣展での写真展示・解説というかたちで還元する機会を得た。
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Research Products
(2 results)