2009 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化における「地域」概念の変容-フランスの周辺地域の文化活動を事例に
Project/Area Number |
19530477
|
Research Institution | Keisen University |
Principal Investigator |
定松 文 Keisen University, 人間社会学部, 准教授 (40282892)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中力 えり 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (50386520)
佐野 直子 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (30326160)
|
Keywords | 地域研究 / フランス / グローバリゼーション / 地域文化 / 地域言語 / 空間 / 越境性 / 消費文化 |
Research Abstract |
本年は1990年代以降のフランスの「地域」概念の変容について、以下3つの観点から調査してきたものを報告書にまとめた。1)グローバル化する社会を定義したうえで、従来の「地域」(region)概念を整理し、アンリ・ルフェーブルの空間概念を分析視角として取り入れた。「地域」は支配する側の統治する範囲として区分けされた概念であるが、1960年代以降の地域主義の運動の中で、地域主体側からの空間の意味づけが行われるようになった。そしてグローバル化する社会において、「地域」は外の世界の影響を受け、「表象の空間」を再生産していく領域であり、「モノ」でもあることが確認された。2)その概念の変化の契機となったであろうヨーロッパ統合における人の自由移動と文化活動によって人の交流が活発化と思われ、越境性について越境する人々をかかえるアルザスとtri-regio、コルシカーサルディニア間の移動、フィンランド・ロバニエミの「空間の表象」として北極圏の民族文化、よりグローバル商業的なサンタクロース村を具体的事例として考察した。そこで、ヨーロッパの「地域」文化活動の主体が伝統を保持しつつ、ある種の画一性をうながすような相互のつながりがあることを検証した。3)最後に地域文化の資源化を可能にする要因として、「生産される差異」として地域文化を意識しつつも、その運動を継続する意思をもつ運動主体について考察した。アルザスのオー・ラン県で地域言語文化の普及や二言語教育問題を担当者、コルシカのチェルビオーニの歴史・言語・自然民俗博物館のスタッフへの聞き取り、アルザスとコルシカの地域文化の博物館の現地調査から、「地域文化の存続と展開」には、単なる消費される対象として地域文化の表象がなされるのではなく、変容させつつも保持していく意志をもつ人々の重要性が認識された。
|
Research Products
(2 results)