2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530484
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
宮城 能彦 Okinawa University, 人文学部, 教授 (40229810)
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Keywords | 共同売店 / 共同体 / 沖縄 / 相互扶助 |
Research Abstract |
103年前に沖縄本島最北部の奥集落に初めて設立された奥共同店は、戦前沖縄県各集落が模倣する形で広がっていった。 共同売店(奄美では地域商店)の特質は、基本的に集落のほとんどの人が出資して運営している小売店であるところにある。そのシステムは「生協」と酷似しているが、全くのオリジナルである。現在においても沖縄本島北部地域や伊平屋島、伊是名島、宮古島、石垣島、西表島、波照間島に残っている。また、奄美大島においても旧名瀬市や大和村、そして宇検村で共同売店(地域商店)の経営が続けられている。決して採算がとれそうにない過疎化、超高齢化が進む集落において、共同売店の経営が維持されているのはなぜか。そこには、単なる「小売店」ではない、システムとしての共同売店がある。 一方、共同売店の特徴は、これまでほとんど行政の支援を受けたことがなく、すべて自らの手で作り、維持し発展させてきたということである。現在までに何度も経営破綻の危機はあったが、その都度自らの知恵と力だけで乗り切り、あるいは閉店に追い込まれた後も復活させてきた。そこに、沖縄の共同体の特質を見ることができる。 本研究は、発祥地である奥共同店を中心に、奄美地方や、他県(特に宮城県丸森町大張地区)との比較によって、共同売店を通して沖縄の共同体の特質をある程度明らかにしたところに意義があり重要性がある。 本研究は、共同売店の歴史と実態を明らかにし、共同売店から見えてくる沖縄村落の特質という観点から研究を進めてきた。道路整備網の発達によって、共同売店が小売店としての機能を縮小させる中、地域で暮らす高齢者のために地域住民の力によって辛うじて維持存続させてきた共同売店の変化に共同体の特質と変容を見ることができた。
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